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たすけてドラえもん★

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「いくらドラえもんだからって、それはないよねー…」
 ユーリは心底残念に思った。
「そのさすらっちゃうカンジの蒼いナントカのはさぁ」
 コンラートは己の全身を包む青い衣装を見下ろして、そうかな?と小首をかしげて見せるが。
 いやいやいや、考えるまでもないだろ! だいたいマントとかいらないし! マスク暑そうだし!
 異世界の義賊のコスチュームは、ある意味、猫型のロボットよりもご町内に溶け込めない。
 そんなわけで急遽ユニクロへ行ってきました――ライトブルーのポロシャツにネイビーのクロップドパンツ。ぐっと夏らしい涼しげな装いに! ついでにユーリの半ズボンもバミューダ丈にまで伸びました。
「あんな食い込みそうな半ズボン姿のユーリ、見ていいのは俺だけです」
「やーめーてー。そういうことを口にするな。頭の中だけに仕舞っとけ」
 服装は指を差されない程度になったけれど、とユーリは視線をコンラートの喉元に当てる。
 そこにはチョーカーとも言い繕えない赤い首輪(鈴付き)。
「駄目です。これが無くなっちゃうと原形留め無くなっちゃうじゃないですか。ここがネコ型ロボットのアイデンティティですから」
 そうなのか?
「実は隠れてますけど尻尾も忠実に再現…」
「わあぁ、見せてくれなくていいから! っていうかそんな拘り要らないから!」
「いやだなぁ。冗談ですよ」
 爽やかな笑顔の、だけど目だけ笑って無いのがちょっと怖い。
 取り敢えずポロシャツの襟を立ててやって、なんとか目立たない様に…無理か…。
「そんなことより。眼鏡をかけたあなたはとてもチャーミングだ」
「そーかー? 暑苦しいんだよな。汗溜まって痒いし。」
 黄色いシャツの裾で汗に濡れた眼鏡を拭いた。
「我慢して下さい。のび太君はひどい近視っていう設定なんですから。外していいのはキスするときだけですよ」
「はぁ?」
 もちろん視力は良いので、にこにこ笑っているコンラートの表情もバッチリ見える。
「ああ、じゃあ外したら罰としてキスっていうことで」
 そんなことを言うから、しぶしぶ慣れない眼鏡をかける。三度ばかりキスを交してから。
 そうこうしている間になぜか夜である。
「良い具合に夜になりましたね」
「ええっ、まだ何もひみつ道具披露してないのに?!」
 ってか四次元ポケットは?
 もちろんユニクロのポロシャツ¥1290の腹にそんなものはついてはいない。
「デザインを損ねるのでこちらに」
 とコンラートはズボンの左ポケットを示した。
「ほら、確かめてみていいですよ? ちゃんと四次元に…ひみつ道具はこっちです」
「…ホント、あんたいつもとキャラ違いすぎ…」
「だってドラえもんですから」
「んなシモ満載のドラえもんあるかっ」
「細かいことは気にしないで、さ、良い子はオヤスミの時間です」
 コンラートはさっさと部屋の真ん中に敷かれた一組の布団の上に陣取って、ユーリの手を引く。
「あんたは押し入れだろっ」
「この暑いのに押し入れなんかで眠たら死んじゃいますよ」
「だったら隣でもいいけどっ! くっつくなよ暑いんだろっ…うわっ重っ…痛いよ」
「はいはい、電気消しますよ」
 わあああーたすけてー、ドラえもー……………んん…っ


アンアンアン、とっても大っ好きっドっラえぇもん〜♪


End


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