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で、誰が持って待ってるの?◆慰めるため
お題:TOY様
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久しぶりにグェンダルに雷を落とされた。完全にユーリのうっかりミスが原因。たるんでいると、まったくグエンダルの言うとおりだったのでぐうの音も出ないで落ち込んだ。
日頃貴族たちとの丁々発止で相当図太くなったと思っていたが、今回のように全面的に自分に非がある場合は別らしい。
「大丈夫ですか」
机に突っ伏しているユーリの頭をコンラートの手が撫でる。
「堪えるー」
よしよし。
困ったような、ちょっと笑いそうなコンラートの顔が目に浮かぶ。そりゃあ珍しいだろう。あんなにがつーんと叱られている魔王様の図なんて。
あーあ。
目を瞑っていると、なんだかだんだん眠くなってきた。このまま寝ちゃおうか。不貞寝の効力ってのも侮れない。一眠りしたらまた浮上できるだろう。たぶん。
頭の上の体温と重みが退いて、黙ってコンラートが出ていく気配がした。
そういえば何か用事があるように言っていた気がするな、とうつらうつらしながら考えた。
再び扉が開く音で目が覚める。顔をあげたらお茶の支度を携えたコンラートだった。
「どれくらい寝てた?」
「さぁ。十分くらいかな」
案外時間が経っていない。それでも一時よりすこし、気分が持ち直した、と思う。思いたい。
目の前に小さな菓子を並べた皿が置かれる。
「どうぞ」
やたら優しい声で促されて、これはこれを食べて元気を出して下さいってことなんだろうな、と理解する。甘い焼き菓子を用意するなんて、コンラートの中で自分はいつまで子供のままなんだろう。
コンラートは得意げだ。
確かに嫌いじゃないけど。
いい香りのお茶を一口含めば温かさがじんわり沁みる。
皿の上があらかた無くなる頃になって。
「そういえば、用ってのはもういいのか? 何だったの?」
「ああ、ヴォルテールの駐在兵の特錬を頼まれてるんですよ」
大丈夫です、とにこにこしているのに一気に血の気が引いた。
「ばっかっ…早く行けよ!」
火に油を注いでどうする! いや、それよりも。ユーリがコンラートを放さなかったなんて、一個中隊単位で思われるなんて――考えるだけでぞっとするっ!
End
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